無駄吠えする愛犬を理解しコントロールする:理由を知り、理解し、解決策へと導く方法
愛犬が吠える理由を理解することは、飼い主にとって必要不可欠なことです。コミュニケーションの手段であったり、あるいは注意をひこうとして吠えることもあれば、その裏に何か問題が隠されていることもあります。本稿では犬が吠える理由を特定し、正しくコントロールするためのヒントをお教えします。
犬がなぜ吠えるのか
犬が吠える理由はさまざまですが、その一つひとつに動機が存在します。吠える行動を見極めてコントロールするためには、その理由を理解することが大切です。具体的には次のような理由が考えられます。
犬が吠えるさまざまな理由
- コミュニケーション手段:犬は人間や他の犬とコミュニケーションを取るために吠えます。また、見知らぬ人の存在や飼い主に迫る危険を知らせたり、挨拶するために吠えることもあります。本能として縄張り意識を持つ犬にとって、縄張りを侵入者から守るために吠えることもあります。
- 注意をひく手段:愛情や餌を求めて、または単に飼い主と遊びたくて吠えることがあります。放置されたと感じたり退屈したりすると、あなたの注意をひくために吠えるかもしれません。吠えれば思い通りになると学習してしまうと、問題行動になる可能性があります。
- 不安やストレス:家族と離れることへの不安や、特定の刺激に対する恐れにより吠えることがあります。誰もいない家の中に置いていかれると、不安を感じて過剰に吠えることがあります。大きな音や新しい環境、見知らぬ人の存在なども、ストレスを感じて吠える原因となります。
- 退屈したとき:心身の刺激が足りないと過剰に吠えることがあります。犬が健康で幸せに暮らすためには、十分な運動と精神的に満たされることが大切です。それが叶えられないと退屈して、暇つぶしや欲求不満の意思表示のために吠える可能性があります。
- 遊ぶときや興奮したとき:遊びや散歩中に興奮して吠えることがありますが、喜びを表したりエネルギーを発散するためで、ほとんどの場合すぐにやめます。ただし、常に興奮して過剰に吠えるようになると問題になることもありますので、注意しましょう。
吠える理由とその状況
愛犬の姿勢や表情を観察すれば、吠えている理由を理解できるかもしれません。例えば、危険を知らせるために吠えている犬は、緊張した姿勢で耳としっぽをピンと立てています。注意をひくために吠えている犬は、リラックスした姿勢でしっぽを振ったりします。吠える理由を特定するためには、いつどのような状況で吠えたのか注意する必要があります。
吠える理由をどう理解すればよいか
吠えている愛犬を上手くコントロールするためには鳴き声を正しく理解してあげることが不可欠です。吠え方から愛犬の感情やその裏にある理由を読み取ることができます。ここでは鳴き声をどう分析し理解すればよいか見ていきましょう。
鳴き声のトーンと頻度を分析する
- 高い声と低い声:高い声は興奮や不安を表し、低い声は威嚇や防御を示している可能性があります。また、高い声のときは速く立て続けに吠え、低い声のときはゆっくり深くこもったように聞こえます。
- 頻繁に吠えるケースとまれに吠えるケース:吠える頻度が高いと何か問題が隠れている可能性が考えられます。まれにしか吠えないケースでは問題がない場合がほとんどです。明らかな理由がなく頻繁に吠えるケースでは、原因特定のために獣医やトレーナーに相談をしてみましょう。
ボディシグナルの観察
- しっぽ、耳、姿勢:しっぽや耳の位置、姿勢から愛犬の感情を推し量ることができます。例えば、しっぽを高く上げて耳を立てている状態は興奮や警戒のサインです。またしっぽを脚の間に挟み耳が垂れている状態は恐怖や不安の表れかもしれません。
- その他のシグナル:不安や恐怖を感じて吠えるときには、喘ぐ、口の周りを舐める、震えるなどの行動も同時に見られることがあります。こうしたサインは愛犬がストレスを感じているのか、または単に興奮しているのかを見極めるヒントになります。
吠える理由を特定する
何がきっかけで愛犬が吠えているのかを見極めましょう。特定の音や人、他の動物に反応しているか、また、周囲の刺激に対してどのように反応しているか。。例えば、玄関のチャイムが鳴るたびに吠える犬は、見知らぬ人が来たことを知らせているのかもしれません。他の犬に反応して吠える犬は、自分の縄張りを守るためだったり、一緒に遊ぼうとして吠えることがあります。
無駄吠えをコントロールするためのヒント
トレーニングとしつけ
- 陽性強化法 : 愛犬が落ち着いて静かにしているときにご褒美を与えて、望ましい行動を強化しましょう。おやつやおもちゃをあげたり、優しく撫でたりすることで、望ましい行動を強化することができます。ただ、吠えたときに怒鳴ったり、罰を与えたりしてはいけません。ストレスが高まってさらにひどく吠えるようになる可能性があります。
- 基本コマンド :「クワイエット(静かに)」、「お座り」、「ヒール(ツイテ)」などのコマンドを教えて無駄吠えを上手にコントロールしましょう。短く明確なコマンドを使用し、アプローチには一貫性を持たせてください。学習内容を強化するため定期的にトレーニングを実施し、また、家族全員が同じコマンドを使用するようにしましょう。
不安やストレスの軽減
- リラックスできる環境を整える:フェロモンディフューザーや一緒に遊べるおもちゃを使ってワンちゃんをリラックスさせましょう。フェロモンは母犬が子犬を安心させるために出す化学物質を再現したもので、不安の軽減に効果的です。一緒に遊べるおもちゃはワンちゃんを夢中にさせて気分転換になります。
- 心身の刺激:場所を変えながら定期的に散歩したり、おもちゃを使ったり運動させたりしてワンちゃんに程よい疲れを与えましょう。心身のバランスを保ち幸せに過ごすためにはこうした心身の活動が不可欠です。ワンちゃんが興味を維持し退屈しないように内容を変えながら、さまざまな活動をさせましょう。
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専門家への相談
- ドッグトレーナーに相談する:吠える理由の特定や個別トレーニングプランの策定にあたり、プロの手を借りるのも一つの方法です。ドッグトレーナーは陽性強化法や基本コマンドの正しい使い方なども教えてくれます。
- 獣医に相談する:健康上の問題が理由で吠えている場合は、獣医に診断を仰ぎ具体的なアドバイスを受けてください。痛みや認知障害など、健康上のトラブルが原因で過剰に吠えることもあります。獣医は健康状態を診断し、必要に応じて治療したり、対処法を教えてくれます。
無駄吠えをなくす
ルーチンを確立する
- 規則正しいスケジュール: 食事や散歩、遊びの時間を決めましょう。犬はルーティーンを好む動物で、スケジュールを予測できると安心します。ルーティーンが確立されるとストレスや吠えの軽減につながります。
- 安心できる環境 :愛犬のストレスを最小限に抑え安定感が得られるように、予測可能で安定した環境を整えましょう。ルーティーンを急に変えたりせず、ゆっくり過ごせる安全で快適な空間をワンちゃんに与えてください。
子犬の社会化
- 社会化の重要性: 恐怖や不安で無駄吠えすることのないように、見知らぬ人や他の犬、さまざまな環境などに徐々に慣れさせていきましょう。社会性を身につけた犬は、状況が変わっても動揺せず適切に行動することができます。
吠える理由を理解して判断できるようになれば、その行動をコントロールできるようになります。愛犬が落ち着いて幸せに暮らせるよう、さまざまなテクニックを用いたトレーニングを行って不安やフラストレーションを軽減するとともに、安定したルーティーンを確立しましょう。愛犬のトレーニングには忍耐と根気が不可欠です。一貫性を持ち、愛情を込めて世話をすれば、無駄吠えをなくしワンちゃんの生活の質(QOL:Quality of Life)を向上させることができるでしょう。